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第5章 その(12) [小説 < ツリー >]

オーラソーマ―奇跡のカラーヒーリング (OEJ Books)

 

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                   第5章 その(12)

「そんな風に思ったこともあったし、もっと苦しめばいいと思ったりしたの。一生彼女は作らないって約束したでしょう。だから美緒さんや加代子さんとの付き合いは壊したいと思ったの。もっと意地悪な悪霊みたいになると思う」

「じゃぁ、どうすればいいの?」
「祐介さんの身体を借りたいの」
「借りたい?」
「そうよ、生身の感覚をもう一度味わいたいの、自分の自由にね。それには祐介さんにしばらく身体から出て行って欲しいの」
「そんなこと出来るわけないだろう」
「簡単よ、あなたが心で、いいよって思えばすぐよ。もし替わってくれたら、その後は、私はあなたの中から出ていってあげる。もう、私に操られなくていいのよ。自分で自分を自由にしていいいの。私が祐介君の中にいたら、きっとまた意地悪したり、苦しめたくなると思う。それでは祐介君は自分の人生を生きることは出来ないわ」

 可奈子は青い光のままだから表情はわからない。そして俺も光に包まれている。この会話を加代子は聞いているのだろうか。光の中から加代子は見えないし、もし何か言っていたとしても声は聞こえそうにもない。

 これが本当に起きていることなのか、それとも幻覚なのか、それさえも判別できないほど頭の中は混乱している。しかし可奈子はまるで生きているかのように話しかけてくる。

 可奈子を信じていいのだろうか。もし可奈子の言う通りだとすれば、このまま可奈子を心の中に宿したままでは、楽しい人生は送れそうもない。苦しみと悩みばかりの人生なら生きる価値はないように思える。

 どうせ破滅する人生なら、いっそ、今ここで騙されて命を失ったとしても同じ事かも知れない。むしろ、この後、苦しみ悩みながらだらだら生きるよりもいいかもしれない。

 手紙の返事をするときは今なのだろう。

「いいよ、身体を貸すよ」
 俺は心を決めて言った。


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